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ささくれた日々

海外ドラマ、映画、本等の偏愛感想。ネタバレの配慮はあまりされていませんのでご注意を。

   
カテゴリー「本&読書メーター」の記事一覧

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「養鶏場の殺人/火口箱」ミネット・ウォルターズ



解説に「読みやすさを念頭に置いて書かれている」とあるように、本当に読みやすいです。
でも、どちらも内容はヘビーです。

「養鶏場の殺人」
実際の事件をもとに書かれているらしい。
若い二人、エルシーとノーマンが出会って、恋仲になって、ノーマンの気持ちは離れていく…と色恋沙汰なところが基本。
そこに、うまくいかない仕事、エルシーの精神的な不安定が加わって、何からも逃れられないノーマンが何をしたのか?という事件なのです。
これは、偽妊娠で心をつなぎとめようとするエルシーが鬱陶しくなったノーマンが何かやらかしたと考えるのが今風でしょう。
私も最後の著者のノートを読むまでは、そう思ってました。
とりつくろうような電報もあるし。
が、ああ、なるほど。
純朴であるが故のノーマンの供述、これがきっと真実なのでしょう。
コナン・ドイルが実際の判決に異議を持っていたというのも、この点なのかもしれません。
裁判部分は少なく、エルシーとノーマンの物語になっているところがまた印象深いです。

「火口箱」
これは、まさかの犯人でした。
それにしても、見たいようにしか見ず、思いたいようにしか思わない人間の憐れさが痛いです。
偏見を持つ人に立ち向かっているアイリッシュのシヴォーンは、正義の人だと思ってました。
が、実は彼女も「アイリッシュは偏見を持たれている」という枠の内でしか物事を見られない人と描かれているのが、犯人と同じくらいに「まさか」でした。
ネタバレとかじゃなく、過程そのものが主役とでもいいましょうか。

二編どちらも、スラスラと読めてしまいます。
だからといって、薄っぺらいわけではなく、かえって重く感じられるのが、単純にすごいなあと思います。

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想像以上でした。「猫ピッチャー 1」そにしけんじ



コミックスの存在も連載先も知ってましたが、読んだことはありませんでした。
が、先日、とある用事でガチャガチャを見ていたら(どんな用事かはつっこまないでください・笑)、猫ピッチャーのを発見。
出てくるものの写真、「遠征」にやられて読んでみよう!と思い立ちました。

今更私が言うことでもありませんが、ストーリーは、プロ野球史上初の猫ピッチャーである「ミー太郎」の活躍です。
小さなからだからは想像できないストレート一本の速球派で、先発完投型。
そこに猫の習性が加わって、みんなをほんわかさせたり、はらはらさせたり、その味加減がとても愉快です。

みんなが、猫のプロ野球選手を疑問も持たずにそのまま受け入れているのがいいですね。
で、うまくいかないことがあると「所詮、猫」とか突き放さないで、ミー太郎の個性(習性だな)として理解してあげるのです。
ここらへん、私の大好きな「パディントン」に近いかも。
だから気に入ったのかもしれないです。
心が荒むようなことが続いたせいだけではないと思います(笑)。

先発で、まだ一球も投げないうちに雨が降ってきた時の、審判や相手バッターの「ファイト!」とか「一球で打つから!」等の励ましの言葉なんて、心が弱っている時に見たらうるっときちゃいますよ。
でも、最後のコマで、逃げ足の速いミー太郎を見て、みんなが「アハハ」って笑ってるので、うるっときたとしても一緒に笑えるのがまたステキです。

ちなみに、ミーちゃんの年棒は、カリカリ12箱+出来高制(かつお節払い)。
「それだけ?」と驚かれ、みんなに聞いてみると、2000、3500、4600、7500などと桁違い(いや、違うのは桁だけじゃないけど)。
意を決したミーちゃんが、年俸アップを直談判にいくのですが、勝ち取ったのは猫缶2000。
5000超えてる人もいるのに最低額の2000でいいというのが、奥ゆかしいです(笑)。

そして、私が心惹かれた「遠征」ですが、ちゃんとありました。
なるほど、キャリーバッグにトイレに毛布…そうなのか。
いつもは膝の上で寝てもらいたがるチームメイトも、この時ばかりは同室になりたがったりしないのね(笑)。

そんなこんなで、また買わなければならないマンガが増えてしまった…というご報告でした。
明日には3巻でるのだとか。

 

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ようやく読了。「ヘンな論文」サンキュータツオ



入手してから読み始めるまでに体調の回復を待ち、読み始めてからも「1日2章まで」と縛りを作りました。
何故って?
楽しみにしていたからですよ。
TBSラジオ「デイキャッチ」の中のタツオさんの珍論文のコーナー、好きでした。
そういった仲間なのだと思って「本当にあった医学論文」にも手を出すくらいに。
それが高じて、今では「ポッド許可局」の局員でもあります(自己申請でいいのですよね?)。

これまではタツオさんの語り口で楽しんでいたものが、こうやって文字になってみるとわかりやすかったりします。
例えば「しりとり」のヤツ。
聞いているだけだと(流しちゃうからね)、言葉のグループ分けのところがいまひとつよくわかってなかったのですが、なるほど、こういうことだったのか!と合点がいきました。

どの論文も、それぞれの研究者が真面目に研究をしています。
追究すればするほど知らないことが増えるのは、研究者の喜びなのではないでしょうか。
そいうことを含めて、笑ってもいいけどバカにしてはいけないのです。
笑うというのは「楽しませてもらった!」結果でしょ。
そんなふうに知的に楽しませてもらったのに、バカにするのは許せない。
鼻で笑うとかじゃなく、あとがきに紹介されていたような、研究者を踏み躙るような行為なんてもってのほかです。
湯たんぽの先生が、今後はタツオさんの紹介でしか~とおっしゃるほどに気落ちなさっているのなんて読んでるこっちもつらいです。
知らない世界を紹介してくれた先生方にあらためて感謝の心を覚える、そんな「あとがき」でした。
続編も期待しています。
以前やっぱり頭の中では整理しきれなかった(セッション22で聞いたのかな?)、「坊ちゃん」のルートなんてものも載せていただけたらありがたいです。

余談。
学生時代、論文の迷路に落ち込んだことを思い出しました。
目当ての論文探して書庫に行ったものの、参考文献をたどっていくうちに自分が何を調べていたのか、さっぱりわからなくなることが何度かありました。
もうちょっとちゃんと迷えていたら、タツオさんみたく珍論文コレクターになれていたかもしれないと思うと残念でなりません。

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4月のまとめ

おさらい読みをして「ラスト・ワルツ」まで読むことができました。
くどいようですが、私はこの結城中佐の世界観がとても好きです。
直接中佐が出てなくても感じられる存在感が何とも言えません。
著者の柳さんも、楽しんでくれる読者がいる限り続けたいシリーズとおっしゃっているので、当分は「これで読めなくなるかも…」などと心配しなくてよさそうです。

伊坂幸太郎さんの本は、少ししか読んだことありません。
ですが、「小さな出版社のおもしろい本」という雑誌で、地方出版社からエッセイを出されているというのを知り、読んでみました。
驚かされることが多くて、楽しかったです。
あ、「小さな出版社のおもしろい本」も、たいへんに楽しい本でしたよ。
又吉さんのラジオで知った夏葉社の紹介もあったし。



2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:1666ページ
ナイス数:79ナイス

箸の上げ下ろし箸の上げ下ろし感想
まず、タイトルがすばらしすぎる。ちらりと出てくる、ご健在であったお母様のエピソードにもくすぐられます。
読了日:4月28日 著者:酒井順子
マラソン1年生マラソン1年生
読了日:4月25日 著者:たかぎなおこ
いとしのムーコ(7) (イブニングKC)いとしのムーコ(7) (イブニングKC)感想
しょぼくれムーコの顔も味があります。てつのおんなムーコのファンでもあるので、久々の登場にうれしくなりました。カバーをとった本体で、初の引き分けがあるのも見ものです。でも…この読書メーターの書影、なんでコミックスの表紙じゃないの? ※5月1日に見たら、書影がコミックス7巻に訂正されていました。めでたしめでたし。
読了日:4月24日 著者:みずしな孝之
局アナ 安住紳一郎局アナ 安住紳一郎感想
今の安住さんのエッセイも読みたくなりますね。
読了日:4月22日 著者:安住紳一郎
3652―伊坂幸太郎エッセイ集3652―伊坂幸太郎エッセイ集感想
驚かされることが多くて(笑)。
読了日:4月21日 著者:伊坂幸太郎
ラスト・ワルツラスト・ワルツ感想
「ワルキューレ」、どうも感じが…と思っていたら、そうでしたか。結城中佐の存在感が大好きなので、これからも読みたいシリーズです。
読了日:4月18日 著者:柳広司
パラダイス・ロスト (角川文庫)パラダイス・ロスト (角川文庫)感想
既に読んでるのに、「追跡」はやっぱりドキドキするね。
読了日:4月7日 著者:柳広司
仙台ぐらし仙台ぐらし感想
犬と暮らしたことがなかったなんてっ!(笑)
読了日:4月6日 著者:伊坂幸太郎
おかゆネコ 4 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)おかゆネコ 4 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)感想
ガツの出番が少ないぞ(笑)。八郎、ツブを連れて会社行ってたのかっ!
読了日:4月5日 著者:吉田戦車

読書メーター

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「ラスト・ワルツ」 柳広司



「ジョーカー・ゲーム」、「ダブル・ジョーカー」、「パラダイス・ロスト」と、文庫でおさらい読みをし、ようやく新作を読むことができました。
初出の日付をみると、連載から本になるまでがかなり早いので、映画に合わせた?と勘繰りたくなりますね。
そのせいで、映画に合わせて無理矢理~とか否定的なレビューも目にしてしまいましたけれど、私はやっぱりこの世界観が好きです。
たとえ登場していなくても、圧倒的な存在感のある結城中佐の虜です。
本のタイトルはこれと思われる「舞踏会の夜」では、結城中佐と思われる人物が前面にも出てきますね。
しかし視点は、侯爵の不良娘顕子。
顕子が少女時代、興味を持ったのが結城中佐らしき男。
20年以上経ち、その時の約束「一緒に踊っていただける?」がかなったという、プチ・ロマンスを匂わせながら、暇に任せた顕子が何をしていたか、結城が何を見ていたかが集約されていくラストも好みでしたよ。

この本が出た少し後、A日新聞の読書欄「著者に会いたい」のコーナーに、柳広司さんが取り上げられてました。
読書家だけど書くこととはなじみがなかったけれど、会社員時代の長期研修で読む本がなくなり、自分が読むために書いたのが創作の始まりだったとは驚きです。
そしてなによりも、作品を発表する時に「こんな面白いものを書いて、世界が変わったらどうしよう」と思っているというのがツボでした。
柳さんがそう思って書いている限り、私も読みたいです。

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