ちょうど開催期間だったので、ツールド・フランスの映像をチラ見しながら読みました。
自転車競技の特別なファンでなくても、癌に打ち勝ってツールド・フランスを7連覇したランス・アームストロングの名前は知っている。
そしてそういう人なら、そのランスが全面的にドーピングを認めて7連覇を剥奪されたことも知っているだろう。
このランスと一時チームメイトでとても近しい存在だったタイラー・ハミルトンがドーピングの真実を語るという本書はとても興味深いもの。
「自分は潔白、でもアイツラは~」という告発ではなく、自信も薬物使用で競技生活を終えただけに真実味というか誠実さを感じる。
タイラーが、本格的にプロ自転車競技の世界に入ってドーピングに手を出した時、やっとみんなと同じスタートラインに立てたのだと、ある意味誇らしげなところが苦しい(こんな気持ちを書いてしまうところに誠実さを感じるのかも)。
自転車やヘルメットなどの装備が整うのと同じ次元なのだな、と。
確かにいくらドーピングを行っても、おんぼろ自転車ではトップは争えない。
増して、トレーニングで鍛え上げられていない身体にはなんの効果もないだろう。
褒められたことじゃないけれど、トップにいくほどドーピング=トップの仲間入りという感覚が生じてくるのはわかるような気もする。
が、実際は彼とドーピングの契約を結んでいた医師(っていうのかな?)は想像よりも大人数に提供していて、「デパートの高級品だと思っていたのにスーパーの品だった」というところに強い落胆を感じる。
それだけに、頑なに否定してきたランスが7連覇を手放しても突如ドーピングを認めた理由は何なのか。
ランスの言葉も聞いてみたいけど…。
購読しているA日新聞スポーツ欄でも、終了したツールド・フランスのドーピング問題はこれから~みたいな記事もあった。
今日は「赤い闇 血液ドーピング 上」と題されたリポートも。
そこにはタイラー・ハミルトンの写真が。
彼が自転車競技の別の側面に与えた影響はかなり大きいということか。
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