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ささくれた日々

海外ドラマ、映画、本等の偏愛感想。ネタバレの配慮はあまりされていませんのでご注意を。

   
カテゴリー「本&読書メーター」の記事一覧

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「特捜部Q カルテ番号64」 ユッシ・エーズラ・オールスン



過去の未解決事件を専門に捜査するコペンハーゲン警察の特捜部Qシリーズ第4弾。
今回は80年代に失踪したナイトクラブ経営者の事件。
調べてみると、時を同じくして5人も行方が分からなくなっていることが判明。
しかも、内の数人に微妙なつながりがみつかり、またニーデという女性との関わりにもつながると、そこにはデンマークの暗い歴史の一部が…。
自国の暗部にエンターテイメントな小説で切り込んでいくところ、「コリーニ事件」が思い出されます。
著者のあとがきによると、この人権侵害にデンマークは賠償どころか謝罪もないのだとか。
「コリーニ事件」のように国を動かすようなことが起きるのでしょうか。

というふうに、過去3作と同様扱う事件はシリアスすぎ、事件を扱う人たちは軽妙過ぎ(カールだけか…?)という対象的なバランスは今回も健在。
しかし、ローセの心の傷が少しわかり、そのローセもアサドの生活を気にかけ、そのアサドの大怪我でカールはみんなのことを思っていた以上に好きだということがわかり…なんとなくいい意味で関係性に変化アリ。
引き取って同居している元同僚ハーディにもいい出会いがあったようで、カールの離婚もよい方に転んでいくとしか思えませんね。
新たな証拠が見つかったというアマー島事件の方はそこまでだったけれど、この事件が解明されるのはシリーズが終わるときなのでしょうから。

というわけでこのシリーズ1作めの「檻の中の女」が映画となるようです(原題:KVINDEN I BURET)。
カールはもっとおっさんを想像していましたが…。
このNikolaj Lie Kaas は、キリングのS3に出ているみたいなので要チェック!
アサドもかっこよすぎでは…
この顔からラクダうんちくというかラクダ格言が飛び出してくるのか?
それはそれで期待大だ。
アサドのFares Fares の出演作を見ていたら、Child 44が映画になるのを発見(2014年?)。
Tom Rob Smith、また日本に来るかなあ♪などと思ってみたり。
あ、Joel Kinnaman(米版キリングの男刑事ホールダー) もいるぞ。
この映画は見ないといけないな。
と、ちょっと調べたら頭の中がぐるぐるしてしまいました。

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「世界の変なトイレ」 モーナ・E・グレゴリー シアン・ジェームズ



タイトル通り、世界のトイレをあれこれ紹介してくれる本。
世界のトイレというと、ある旅行記の最低な方が即座に思い出されるが、これはどれもキレイな写真なので安心です。
用が済んだ後水で洗う文化を始め、形状やあり方でお国柄というものが伝わって来るようです。
自宅のトイレを観光客向けに貸しているというのもね。
腰掛け式とスクワット式の導入戦争(大袈裟)も興味深い。
日本の洗浄便座ももちろん紹介されてます。
確かに、こんな至れり尽くせりのトイレなんて他には掲載されていないですよ。

腰掛け式の基本的な使い方に頭を悩ませることはないと思っていたけれど、ひとつわからないものがありました。
ドイツのアウトバーンのサービスエリアで普通に見かけるという便器。
ステンレス製で、見た目もシンプルで重厚なすっきり感でたいへんにきれいなのですが、この形にどうやって座るの?
普通に考えれば、壁とつながっている方を背中にすると思うのだけれど。
何しろ、便座らしきものがないのでおさまり感の想像ができないっ!
その下の写真の障害者用は何も問題なく受け入れられるので、想像する使い方は間違っていないと思われるけどなあ。
でも…座りたくない…キレイなのに…。

とうわけで、どのトイレの説明にも面白いタイトルコピーがついているし、上記のドイツのようにそれぞれに使い方を頭に浮かべることもできて、何重にも楽しめます。

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5月のまとめ

小説2冊はきつかった。
「コリーニ事件」は、読み口はすいすいとしているのに流れるテーマは重すぎ。
でも読んでよかったと思えるので、「罪悪」や「犯罪」を読んだ方なら大丈夫です。
「猫鳴り」は、うっかりすると老猫と老人の最期の日々を涙して終わりになってしまいそうだけれど、本当に読むべきはそこではないと感じた。
捨てられても捨てられても信枝のもとにやって来るモン。
赤ちゃんを産めなかった信枝が、事実を受け止められるようになるのを身を挺して待っていた。
それは自分を拾えというよりも、信枝が壊れてしまわないよう、自分は身代わりだってかまわないよ、あなたのためならとも言っているよう。
水しか口にしないのに、一ヶ月以上も藤治と生きたモン。
20歳になろうというモン自らはもう旅立つ準備はできている。
でも、藤治がまだ老猫は旅立つという自然の流れを受け止められないでいる。
モンは黙ってそれを待っていた。
自然なこと、モンが苦しんでいるようには見えない、そういう獣医師の言葉を受けてからの藤治の悟ったような接し方と、モンが静かに弱っていく様子は「ああ、そういうことだったのだな」と。
犬も猫も、ペットたちは飼い主のことを、人のそれとは別の意味で気遣っているのだなと思わずにはいられなかった。
なんだ、結局自分のワンコのことを頭に浮かべて酔ってるじゃん、私…。

「かくかくしかじか」は勢いにのって2巻も買ってしまった。
全然読んだことなかったのだけれど、萩尾望都さんがご自身の対談本で、たいへんにお気に入りだったのが気になり読みましたよ。
そしたら、わけわからんエネルギーにやられました。
対談の中で、女版まんが道であるとおっしゃっていたので見届けてみたいなと思いましたよ。
東村さんを代表するまんが、ひとつも読んでないのに生意気だけど。


2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1590ページ
ナイス数:25ナイス

かくかくしかじか 1 (愛蔵版コミックス)かくかくしかじか 1 (愛蔵版コミックス)感想
あまり気にしてないお方だったのですが、対談本で萩尾望都さんがたいそうお褒めだったもので。何か引き込まれるエネルギーを放つ、女まんが道だ。
読了日:5月29日 著者:東村 アキコ
猫鳴り (双葉文庫)猫鳴り (双葉文庫)感想
自分を受け入れる準備ができることを待っていてくれるモン。そうやって読むとものすごく心を打たれるのですが、そうすると第二部が一冊ものとしては俄然弱くなってしまう。でも私は「待っていてくれるモン」として読みたい(笑)。
読了日:5月29日 著者:沼田 まほかる
泡沫日記泡沫日記感想
自分もいろいろ迎えるであろう初体験。久しぶりに酒井さんの本を読みましたが共感する部分が多くてびっくり。
読了日:5月26日 著者:酒井 順子
プロ野球 もうひとつの攻防  角川SSC新書  「選手vsフロント」の現場プロ野球 もうひとつの攻防 角川SSC新書 「選手vsフロント」の現場
読了日:5月19日 著者:井昆 重慶
コリーニ事件コリーニ事件感想
とても読みやすいのに、とても重い問題を孕んでいます。
読了日:5月18日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
ひとり暮らしな日々。ひとり暮らしな日々。感想
だめだめひとり暮らしを期待していたので、たくましくしっかりした生活感に妙な肩透かし(笑)。
読了日:5月15日 著者:たかぎ なおこ
トルコで私も考えた トルコ21世紀編 (集英社文庫―コミック版)トルコで私も考えた トルコ21世紀編 (集英社文庫―コミック版)感想
トルコは興味のある国なのですが、ナスはいただけない。しかも日本のよりでかいなんて(笑)。
読了日:5月8日 著者:高橋 由佳利
ザ・万字固めザ・万字固め感想
瓢箪(笑)。台湾のみなさまの歓待ぶりが実に真面目で微笑ましくさえある。そして、結構なヤケドをされていたのですねえ。
読了日:5月5日 著者:万城目学

読書メーター

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第一部、つらすぎる…「猫鳴り」 沼田まほかる



第三部の、老いた飼い主と老猫モンの話は、飼い犬・猫を看取った経験のある方ならこみあげてくるものがあって当然。
治療に逡巡する様、もう力もなくなってきているのに、名前を呼ぶと顔を上げ、それさえもできなくなると尻尾で応える、そんなところは自分にもあったあの日を思い出させる。
果物籠に入れて揺らしてやると喜ぶのとか、読む人をきゅ~っとさせすぎだ…。

でもこの本から感じるのはそれ以外の方が強い。
第一部で捨てられた赤ちゃん猫モンが中年夫婦の家にやってくるのだが、力なく鳴いていても、傷を負っていても、信枝はモンを捨てることしか考えない。
自分が手当をしてあげても、それでも捨てたい。
そこにはようやく授かった子どもを流産してしまったことが大きく影響しているのもわかる。
亡くした子どもの代わりに赤ちゃん猫を迎えるという図式が信枝には負担な時期だった。
しかし、「いっそ飼おうと言ってくれればいいのに」と夫の藤治に期待してみたり、捨て方や保護の仕方には嫌悪するものの、本当は信枝がどうしたいのかが伝わってくるような気がした。

第三部は、信枝に先立たれた老人藤治と老猫モンの最期。
若き獣医師が「自然なこと」と言うのを聞いて藤治はそれを支えにモンと暮らす。
何も食べずに水だけで一ヶ月以上も寝たり起きたりのモン。
それは捨てられても捨てられても信枝の家に戻ってきたのと同じだと思う。
信枝と藤治が自分を受け入れられるようになるのをモンは待っていたのだと思う。
そう気付いた時に何か見えない手で胸元を握りしめられたような、そんな感じがした。

ただそう思ってしまうと、第二部だけ異質なのですよね。
直接にモンが行雄を待っていてくれたわけではないし。
信枝が暗く深い闇を抱えていたのと、行雄のブラックホールは同じ意味だとは思うが、モンが心の準備を待っていてくれる話として読みたい私にはちょっと異質、というだけのことできらいなエピソードではない。

怪我してる子猫を捨てる、老猫のヨダレを疎ましく思う、人間の子どもを痛めつけてやりたい、そんな闇の部分がこれでもかと書かれている分、それぞれが迎え入れられたことが愛おしいのだと思う。
人や生き物に対して愛おしい気持ちがなければこんなネガティブなことは書けないだろうなとも思う。
それは私がジャック・ケッチャムを本当はいい人だと信じるのと同じかもしれない。
万人にはお勧めしないけれど、ケッチャムに対して同意見の方なら是非(笑)。

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「コリーニ事件」 フェルディナント・フォン・シーラッハ

 

ドイツの歴史部分となれば、そちら関係のことだとある程度想像できてしまうわけですが。
どうかしていた時代にどさくさで通過してしまった法案のために苦しめられる、何年たっても、何重にも、のしかかってくる戦争というものの恐ろしさ。
平和ボケしているものには別の意味で辛いものがあります。
戦争とはみんながどうかしていた時代だと思う。
そこで行われたことは法律では裁けないと思う。
かといって無実であるわけではないと思う。
でも何を根拠にするべきなのかがわからないです。
主人公の知る被害者は、温厚で尊敬に値する男だったが、
加害者が知っているのは残虐な行為を指示した男。
今誠実ならそれでいいのか?とかそういう問題ではなく、
法律の抜け穴を追及する物語なのでしょう。
ただ、こんな重い話なのにこんなに読みやすくていいのか?という気がします。
シリアスな物語はかしこまっていなければならないということはないですけども。
読みやすく、淡々と進むところに、あとがきにあるような著者と同窓生たちの名前の持つ意味みたいなものを感じます。
表紙見返しに、主人公と年配弁護士の法廷バトルみたいなことが書かれていますけれど、それはちょっと違いますね。
この点を期待すると肩透かしだと思います。

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