単純な老人殺害事件と思われたものの、被害老人の本当の顔がわかって事件の見方が変わってくる。
本当の顔に関係した人物をたどるとまた違った側面が見えてきて…事件の重なり具合が広がっても混乱することなく気持ちよく読めました。
内容を考えると気持ちよくは語弊がありますが。
タイトルの意味、その重要性がわかるタイミングが私は好きでした。
焦らされもせず、いきなり?という感じもなく、そのまま受け入れられるような、見事さがあったと思います。
ヘニングマンケルっぽいと比較されているのを見ましたが、こちらの方が読みやすいと思います。
しかしヘニング・マンケルのヴァランダーの方が私は好み(笑)。
まだ一冊目なので単純に比較はできませんが。
本筋の老人殺害事件だけでなく、元嫁の知人の娘が結婚式から姿を消した件も内密に頼まれており、これって必要?と首を傾げました。
が、読後、娘との関係性を語るのに何気に重要だった気がしました。
そう、これですよ。
娘との関係に明るい兆しがあるのですよ。
だめっぷりが低いともいえるから、ヴァランダーに軍配を上げてしまうのですよ(笑)。
また、この「湿地」はエーレンデュル刑事を主人公にした3作目だとか。
できれば最初から読みたいですよねえ。
アイスランドの小説は初めて読みました(たぶん)。
新鮮だったのは、「緊急事態に犯罪捜査官は青いライトを車の屋根に載せて交通ルールを無視して走行してもOKという新ルールを初めて利用した」というところ。
外国の映画でそんなことをしているのを見たけれど、レイキャビクで使うことなんてあるのか?と鼻の先で笑った、とあります。
主人公はベテラン刑事でありますが、「新ルール」というからには数年の間のことでしょう。
この小説が2000年のものなので、1990年代後半でしょうか。
物心ついた時からサイレン音も高らかに赤灯、青灯がくるくる回っているのを見ていると信じ難いですよ。
「その国のことを知るにはミステリを読んでみるのがいい」というのがわかるような気もします。