歌声の行方
横転した車の中から若い女性の死体が発見される。
車の持ち主は地元の名士ブラックストーン家であり、額に真新しい傷をつけた息子に質問するが母親が何かと遮り捜査は難航する。
高貴な家柄の内幕というのはイギリスドラマにつきものですね。
今回も家庭内の人間関係が破綻していて、抜け出したい気持ちと恵まれた生活の板挟みで苦悩している息子が憐れ。
でもお父さん、それはないだろう。
後妻の仕打ちにも頷けないが、お父さんも一方的な被害者じゃないですよね(家庭において)。
後妻の人はお久しぶりのペンハリガンの人だ。
消えた子供
グローブス夫妻がちょっと目を離した隙に養女フェイスが誘拐される。
実際の両親や夫妻の交際関係を調べると、養子縁組の仲介組織の非情さが垣間見え…。
赤ちゃんを仲介組織にとられたという気持ちでいっぱいの女性の「どうして一緒に暮らせるように助けてはくれないの?」という叫びが効きましたよね。
この仲介組織はシングルマザーは許されないというのが根本にあるみたいでしたから。
グローブスさんがシングルマザーとなってしまった時代から二十数年、声が届くにはまだまだ時間が足りなかったのかしら。
バッカスが誘拐の容疑者ともみ合って、容疑者死亡というのはきつかったです。
考えてみれば警察官は基本的に銃を持っていないのですから、捜査の段階でたとえ犯人であろうと人を殺してしまうなんてまずないはず。
気遣う警部には静かな表情でありながら、不仲だった父の胸で涙を流すバッカスが愛おしかったようなきがします(?)。
グローブスさんはマイクロフトさんでしたね。
ヒゲとメガネで印象変わりますが、マイクロフトさんでした。
ジェントリー汚職疑惑
夜勤の警察官がパトロール中に死体を発見したせいで殺されてしまう。
しかし、警察は汚職を気に病んだ自殺として片付けようとしており、身重の妻はそれが悔しくてたまらない。
彼の無念を晴らそうと約束する警部だったが、刑務所に送り込んだはずの汚職警官ラティガンが釈放され、逆に警部が汚職警官であったとして捜査される。
警部の周りは敵ばかり!
警察の上層部はみんな何かしらの汚職に手を染めていたってことですか。
それを許せない孤高の警部は、ラティガン事件を逆に利用されて抹殺されるところだったわけですね。
それにしてもあんなに大掛かりに仕込まれるなんてヒドイ恨まれようですよ。
汚職の証拠を並べられても、複雑な顔をしながらも警部を信じるバッカスが健気でした。
テイラーに「この捜査は間違ってる!」と睨まれる前からバッカスの心としては潜入捜査だったわけですよね。
警部のためにウソで時間稼ぎ、ホテルから大聖堂へ走る走る…バッカス大活躍。
「いつでも警部の味方です」にまた大人になった彼をみたような気がします。
今後、「傷つきやすく騙されやすい、都会の罠に陥る恐れアリ」という警部のバッカス評にもう少し何かが加わるような気がします。
っていうか、続くんですよね?(笑)
でも関係者がみんな死んでしまって、真相を知るのは警部とバッカスのみ。
濡れ衣だと証明することもできずに、警察は警部を受け入れられるのでしょうか。
あの弁護士が手を尽くしてどうにかなったりするのでしょうか。
ドンパチ合戦がないところも好きだったんですけどね…(笑)。
しかも元同僚・親友で殺し屋がルイス警部の人とは!
誠実なルイスしか知らないのでまったく想像できない(ミスキャストだよね・笑)。
ミスキャストついでに言うと、バッカスの元嫁、キャラクター変わりましたよね。
もっとお嬢様っぽい人だったという印象があるのですが(署長の娘だし)。
今度の恋人の趣味なのかしら(笑)。
とうわけで新エピソードも終わってしまったわけです。
警部はもとから大人ですから、ここではバッカスですよ、またちょっぴり大人になったようです。
移民、多人種、貴族階級、シングルマザーへ向ける視線は当時のイギリスの若者そのものだったのでしょうね。
彼には、そこに本当にある差別的感情なんてものはなく、世間で言われていることだから程度。
だから事件で当事者たちに触れるとちょっとだけ気持ちが変わったり、心が痛んだり、と。
良く言えば打てば響く、悪く言えば流されやすい、そんな若者の代表としてのバッカスくんなのですかね。
そんな若者代表の彼を警部は「打てば響く」の方を大切に見守ってくれていると、届いたような気がするのは美化しすぎでしょうか(笑)。