…アウグスト…やっぱり…
だめだめな人が急に仕事を探したりするのはやっぱりそういうことなんだな…。
とにかく、イエンスのマーティン憎し!は相当なもので、5年と財力の全てをかけて周到な計画の元に復讐は実行されたわけです。
ただ、社会的な不平等を訴えるとかはどうだったのでしょう?
息子の遺体が見つからないのにそのままとか、これも広い意味では社会的不平等となぞらえたのかしら?
表向きの犯行声明もそうですが、本当にすべてをひとりで実行できたのでしょうか。
もちろん、精神的に不安定な人を操ってさせるとかそういうこともありましたけど、ひとりでするには規模がデカすぎやしませんかね。
財力にしてもそう。別荘やまわりのものを始末したといっても…ねえ。
メッテにソフトを売り込んだみたいに、本当に成功した会社をもっていたってことか。
ターゲットはアウグストとわかっても、ただ殺すだけではありませんでした。
イエンスの息子は見つかっていないのです。
だからアウグストの遺体も見つけさせるわけにはいかないのです。
まして、直前に仲直りというか親密さを築き直そうとしている親子、殺されたという事実だけで遺体が見つからないその苦しみこそがイエンスの目的だったのです。
復讐は半分は成功ですね。
アウグストは見つかったものの、マーティンはもう警察にはいられないでしょう。
そして自分の行為が家族を恐怖に遭わせ、命を落とさせることとなったのですから、人としても乗り越えていくのはたいへんでしょう。
この大きな事件を通して描かれたのはサーガの物語だったのですね。
これまで人との交流が壊滅的に下手くそなサーガが、少しずつマーティンから学んだことが橋の上に集約されるとは思いませんでした。
「アウグストは生きているのか?、相手が聞きたいと思っているように答えているのか?」で、マーティンの希望することを言ってあげたい、でも真相は…と困惑しているサーガは人間的すぎました。
あの顔を引き出すためのキャラクター設定だったのかしら。
それなら私には大成功。
さらにサーガがかわいくなりました。
ベッドに横たわるマーティンに「お葬式はいつ?」と聞くところなど、やっぱりサーガだし(まだ早すぎるだろ、その質問)。
最後の最後に、アントンに「食事に行こう」と電話する姿のなんと爽快なこと。
こんな大復讐劇の後だとは思えませんよ。
とんでもない時間だろうに、快く承諾しているアントンもきっといい人。
マーティン、だめ父ちゃんだったけれど、サーガをよりかわいくしてくれたのって彼なのですよね。
恋愛感情以外で異性をかわいくさせることができるなんて、そこらへんが見た目以上にモテモテの理由なのかしら?と思ってみたり。
ステファン兄妹のことがいまひとつ…
ステファン妹が、ダミー犯人の被害者だったということを使うためなのかもしれませんけれど。
福祉関係というその仕事柄、ダミー犯人として選ばれたのでしょうか。
イエンスの計画の壮大さを物語っているのか?
ここらへんは自分で思いたいように思っていいのかな?
とにかく、サーガのおかげでたいへんに楽しむことができました。
あのお母さんな上司(靴下やブーツを履かせている姿、決まってました)がいなくなっても大丈夫だよ、とハグしてあげたいです。