ジム・トンプスン「おれの中の殺し屋」(小説原題「The Killer Inside Me」)の映画。
トンプスンの小説はふつうの人の、こんなにも?という壊れっぷりから目が離せないので好きな作家の一人。
映画見る前に再読しようと思ったけれど、まあ読んでることだし…(笑)。
みんなに慕われる保安官助手ルー・フォードが、娼婦を追い出す仕事を押し付けられたことから潜んでいた殺人衝動に囚われて、あれこれ画策するがどうにもならなくもつれて…というもの。
語られずチラ見えする過去、無意識に焚き付けられた復讐心、なんてことない日常、それらが積み重なって壊れたルーが出来上がるのですが、
殺人に手を染める以前も以降も、決断を迎えても、ルーの表情が変わらないのがいい。
というか、ルーは表情ないよね。
唯一あるのは、決行する時に見せるにやっとしたところか。
そんな彼をとことん愛する女たちは、彼によって狂わされたとでもいうのでしょうか。
彼女たちの愛は純真だから悲劇だよね。
確かに暴力シーンは酷い。
でもそこがルーの病的なところをこれでもかと見せつけているのだと思うと否定できない。
そういうわけで、トンプスン好きとしてはそのとおり、という感じでした。
すっごい久しぶりに「ホミサイド」のボランダーも見られたし!
それにしても、ジェシカ・アルバちゃん、すごい。
あんなに痛めつけられる汚れ役なのに、かわいすぎる!
娼婦役なんて似合わないと思ったけれど、かわいさ、無垢さがポイントになるのだから適役ですよ。
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COMMENT
No Title
原作は未読ですが、映画の方は中々面白かったです。
ルーは無表情もですが、殴る時に「ごめんよ、もうすぐ終わるからね・・・」と謝りながら、ってところも怖かったです^^;
オープニングも最高に格好良くて、観た後暫くは「Fever」ばっかり聴いていました。
そうそう、ラストの「Shame on You」を歌っているスペード・クーリーは実際に奥さんを殴り殺して服役してたらしいです^^;
Re:No Title
無表情で恐ろしいことしておきながらの甘い言葉、効いてましたよね。
ケイシー・アフレックの声も、いい感じに似合ってました。
そうそう、音楽もかっこよかったですよね。
ラストの曲にはそんな意味まで込められていたとは知りませんでした。
そううかがうとなおさら沁みてくる曲ですね。ありがとうございます。