食肉業界の奥深さ、抱える問題、著者の心持等、いろいろな意味で衝撃だった
「世界屠畜紀行」。
その著者が自分で育てた豚を食べてみたいと、交配、迎える場所、飼育、肉にして食べる会を開くまでを綴ったもの。
「世界屠畜紀行」は、たいへんに興味深く、己の無知を痛感し、ものを食べるということに改まる想いだった。
しかし、かわいがることと食肉にすることが同列な感じに受け入れ難く思ったのも確か。
そしてこの本では、三匹の豚それぞれに名前を付けて飼い、その豚たちを実際に自分で食べるところを体験されているのであった。
受け入れ難いと思っていたことを見せてくれるのだから読まないわけにはいかない。
豚との日々は養豚業の苦労よりも、微笑ましくてたまらない。
リーダー戦争、拗ねる、脱走、甘えてみたり、このあたりのイラストがもっとたくさんあればいいのにと思った。
それだけにやはりつらい想いがした。
育てたわけでもない自分がそんな気持ちになるのはどうかしているとわかっている。
結局は屠畜の実態を知らないから持てる幸せな(おめでたい?)感情なのかもしれない。
愛情がなければおいしい肉にはならない、でもその愛情も一緒に暮らすのか食べるためなのかでは違うのではないか?と思う。
いろいろ手助けしてくださった方が呑んだ勢いでなのか
「どうして豚に名前付けるんだよ~」と言葉にされたり、係留所に導く時の電極棒を使うのを躊躇う「かわいそう」という気持ちを持ち込むとはそういうことのような気がする。
なのでやはり私的には結論は出なかったが、著者の豚たちへの愛情も、おいしかった、感謝していると言えるのも本物の潔さだと思う。
著者のお母様の態度の豹変を実に面白く感じたが、たいていの人はそうなのだろうな、
自分も著者に近い存在だったら同じような反応してただろうな…(苦笑)。
そんな私のちっぽけな感情よりも、過程すべてに関わる人の仕事ぶりを心に刻むべきですね。
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COMMENT
読みたい!
彼女の文章はからっとしててユニークですよね。あのスタイルで書いた豚物語、読まねば〜!
しかし。本を買うのは構わないのだけれど読み終えた後のスペース問題が困る。洋書についてはkindleが解決してくれるけど和書は。。。紙媒体も買うから電子書籍も出してーってのは無理なんだろうか?私は能天気過ぎるのかな、共存できないのかなあ?
Re:読みたい!
この本、「世界屠畜紀行」と合せて読むといいと思います。
私としては、解答編として読んだつもりなのですが答えは見つけられなかったもので、是非他の方の感想もうかがいたいです~。
内澤さんの文章は楽しいですよね。
ですが、「身体のいいなり」にあった乳癌手術のことでお医者さんともめてた話があったりして、そんな時に豚飼い実行していたのは驚きました。