超有名進学校である開成高校野球部の部活動ルポ。
他の部活動との兼ね合いで週一でしかグランドを使えない、そんな不利な状況を開成ならではの頭脳プレーでいわゆる強豪校に立ち向かうのかと思った。
下手なのである。
それも異常に。
と、著者も表現するくらいのお見事さだったようだ。
野球って危ないですね
危ないですよ
なんて会話が成り立ってしまうのも愉快だ。
内野は打者に近いからこわい、外野なら遠くて安心、と言ってしまえるのもいい。
賢すぎる故に下手なのではないだろうかとさえ思えてくる。
実際、開成に入るために勉強ばかりしていたというよりも、成績がいいらしいから勧められて受けたら受かったみたいな子が多いもの。
試合進行の妨げにならないような最低限のマナーとドサクサ、この二つがチームの持ち味。
いわゆる強豪校が聞いたら、どんな顔するだろうかとにやついてしまう。
著者と部員とのやりとりもまたおかしい。
質問に想定を超えた答えがかえってきて、著者が思わず「?」となることもしばしば。
他の学校で同じような取材をしたらやはり同じことになるのかもしれないが(高校生という意味で)、そこに彼らならではの思考があるような気もする(当然、監督にも)。
内野は打者に近いからこわい、
何故君がキャッチャー?と問われ、前のキャッチャーが引退したから、
打者はどんなにすごくても3~4割、守備は下手でも9割9分、その確実性が好き、
ガツガツするふり…等々名言が飛び出すのも多様な思考のなせる技のような気がする。
かえってきた答えに著者が「?」となるところに
、「はい、泳げません」にあった、泳げないのに校内水泳リレーの選手になった著者のことが微妙に重なるのだけれど(笑)。
本を読み終えた後で、一番最初の著者の言葉をもう一度読むと強い同意を覚える。
この夏、開成高校野球部は注目されちゃうのかな。
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