自分の心の健康のため、闘病記は読まないようにしているのだけれど、これはいろんな意味で読んでよかった。
ある日突然白血病だと告げられ、しかも珍しいタイプなために骨髄移植をすすめられ、たまたま弟さんがフルマッチ、それでも移植後の苦しみは強く…確かに闘病記。
でもそこかしこに、人や物への愛があふれていて加納さんが愛おしくなってくる。
たいへんな想いをされていたであろうご本人とご家族が一丸となる姿も。
同じ病気でたいへんな想いの方に少しでも助けになればと、具体的に病気と立ち向かうことだけでなく、入院生活の知恵もうかがえるところがかわいらしい。
ただ…
「日常生活のおける感染予防ガイド」からの覚え書きというのを目にして、気分が重くなった。
生ものをのせたまな板にそのまま口にするものをのせない、しっかり加熱、なんてことは基本だけど、台所用スポンジは毎日消毒して一週間で交換というのは、台所用スポンジの雑菌の多さを思い知らされた感じで打ちのめされる。
やってできないことはないのだけれど、以前私が退院した時の家族の反応を思い出したのですよ。
「治療のせいで免疫能力落ちてるから、家族も菌を持ち込まないように手洗いうがいを。熱が出たら即連絡を」と言われたのに、迎えに来たその直後に手洗いせず…
「頼むよ…」と言えば、「誰も風邪なんてひいてない!」と見当はずれな逆ギレ…
いや、今、私、弱ってるんだからさ…という言葉を呑みこんだ記憶が。
特別弱っている人がいなくても、インフルエンザ流行時や自分が風邪ひいてる時だってタオルの共有をやめないような人だもの、今思えば想像範囲内の言動なのだろうけれど。
こんなことを思い出して、もしもうちで誰か移植が必要になったら…とひとり慄いてしまったわけですよ。
私の話なんてどうでもいいのだった。
ドナー登録も献血もできないけれど、加納さんが楽しくマンガを読んで小説を書ける、そんな日々をずっとおくれることをお祈りしています。
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