サンキュータツオさんがお勧めしているのを聞いて興味を持ったので読みました。
三省堂で二つの国語辞典ができることとなった経緯、結果的にそれが学生時代からの友が袂を分かつことになったというお話。
国語辞典の成り立ちが、そのまま二人の学者の人間ドラマでありました。
ケンボー先生は用例採集にのめり込み、山田先生は一味違った語釈に傾倒し、どちらも端から見ると「ひとつの道を究めすぎてしまった学者」と片付けたくなります。
もちろんそうであるのでしょうが、1月9日の意味などを考えると、特定の語釈については深読みせずにはいられなくなります。
金田一春彦先生と三省堂の方々が無意識であっても意図的であっても、お二人の関係に影響があったのは確かです。
それが日本の辞書の世界を動かしたともいえるのですから、やはりこれはドラマでしょう。
全体的にうならずにはいられないのですが、ひとつだけ引っかかったところがありました。
ケンボー先生は最初に辞書作りの依頼があった時、相棒にと声をかけた人がまず金銭面にこだわったので絶交したとありますが、ご自身が原稿料や印税の話にうるさい方であったともありました。
腑に落ちない気がしたのですが、交渉が通るとあとは関係ない(編者間での印税配分など)とか私欲ではなく、辞書を作るという仕事を敬う気持ちと受け止められました。
恥ずかしながら、新明解国語辞典の語釈が話題になっていたとか、まったく知りませんでした。
知っていたら「新解さんの謎」なんて、笑おうと思って読んだに決まってます。
「辞書になった男」を先に読んでしまったので、ちょっと趣違うだろうけど、やっぱり読みたい(笑)。
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