「ジョーカー・ゲーム」、「ダブル・ジョーカー」、「パラダイス・ロスト」と、文庫でおさらい読みをし、ようやく新作を読むことができました。
初出の日付をみると、連載から本になるまでがかなり早いので、映画に合わせた?と勘繰りたくなりますね。
そのせいで、映画に合わせて無理矢理~とか否定的なレビューも目にしてしまいましたけれど、私はやっぱりこの世界観が好きです。
たとえ登場していなくても、圧倒的な存在感のある結城中佐の虜です。
本のタイトルはこれと思われる「舞踏会の夜」では、結城中佐と思われる人物が前面にも出てきますね。
しかし視点は、侯爵の不良娘顕子。
顕子が少女時代、興味を持ったのが結城中佐らしき男。
20年以上経ち、その時の約束「一緒に踊っていただける?」がかなったという、プチ・ロマンスを匂わせながら、暇に任せた顕子が何をしていたか、結城が何を見ていたかが集約されていくラストも好みでしたよ。
この本が出た少し後、A日新聞の読書欄「著者に会いたい」のコーナーに、柳広司さんが取り上げられてました。
読書家だけど書くこととはなじみがなかったけれど、会社員時代の長期研修で読む本がなくなり、自分が読むために書いたのが創作の始まりだったとは驚きです。
そしてなによりも、作品を発表する時に「こんな面白いものを書いて、世界が変わったらどうしよう」と思っているというのがツボでした。
柳さんがそう思って書いている限り、私も読みたいです。
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