「真実の10メートル手前」と「他人を非難してばかりいる人たち」を続けて読みました。
「真実の~」は「さよなら妖精」で高校生だった太刀洗が「王とサーカス」を経ての短編集というものです。
先日、
葉村シリーズでやはり自分は順番に読みたい質だとわかったのに、また順番を無視してしまいました。
でも、新聞記者時代もあるから!とちょっと自分を励ましてみたり。
どの話も太刀洗がことの真相に近づいていく過程を読ませるもので、順番関係なくよかったです。
探偵である葉村とは違い、記者として誠実であろうとするがために真相へと近づくというのが時に重苦しくもありますが。
なんでそこまで求めるかなあ?と思ったのが、水害で助け出された老夫婦の話です。
助かったというハッピーエンドでいいじゃないと思いました。
が、その後「他人を~」のマスコミ報道の部分を読んで、そこまでして太刀洗がこだわったのは、いざという時にこの老夫婦を守るためだったのではないだろうかと思えてきました。
生きるために正直だった、でも間違ってはいないことに罪悪感をもってしまった夫婦の心を軽くするという側面もあっただろうが、対マスコミ、対バッシングをその先にとらえていたのだという感じが強くなりました。
記者であるから、その記者のあり方に考えるところがある太刀洗だからこその視点が読後にわかったような気がします。
まったく意図してはいなかったのに、続けて読んだこの二冊に微妙なつながりがあったとは、不思議なものです。

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