町田さんが読者の相談にこたえる連載がまとまった本であるとか。
基本、回答は悪ふざけです。
あっちにこねくり、こっちにこねくり返し、と町田さんのエッセイ等に慣れているお方なら想像つくことと思います。
が、先ほど書いた悪ふざけとはいい意味でのことです。
これを仰ったときイエス様は昨日の酒が残っていたのではないかなあ、と思います
とか
銭金を背景としない人情はなんらの効力も発しない
とか、名言揃いで、私が大好きな感じの悪ふざけです。
そうやってこねくり返されるものの、ひとつひとつ順立てて思考を巡らし、たどりつくところは真面目な回答です。
そこには、今はたいへんかもしれないけれどいつか小さなことと思えるよ、というやさしささえ感じます。
そんな中で、書下ろしだという最後の相談、亡くした猫への想いのお話は、生き物と暮らしたことのある人ならば心を強く打たれ、なにかしらが絞り出されてくると思います。
帯のコピーのように号泣はありませんが、何かが出てくるのは確実です。
悲しいのは後悔であるとか、まさにそうです。
人間を忘れっぽく作ってくれたことこそが神の慈悲
昨日の酒が残っていることがあったとしても、こんな慈悲を与えて下さったのだと、ありがたい気持ちが芽生えます。
この項は特に、ひとつひとつが名言で一度読まれることをおすすめします。
他の相談はいまひとつ親身にはなれないけれど、これには自分自身に思い至る節があるからというのは間違いないです。
もう生き物と一緒に暮らすことはできないかもしれないけれど、もしそういうことができたら寂しい想いは絶対にさせたくないです。
そして、今後も遠慮なくまさ君のことを思い出していきます、と決意してしまうような、そういった偏った読み方だっていいんじゃないでしょうか、と自分をフォローしたくなります。
他の相談は自分のこととしてとらえられないというだけで、どれにも真面目に向き合っている姿が想像でき、パンク道場というタイトルとはかけ離れているような気もします。
私が特に好きだった回答は、親切な叔父さん、息子の進路かなあ?
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