婚約者宅への訪問を控えたフリーダのもとに、予定を取り消すよう脅迫めいた電話が入る。
しかし、予定通りに訪問したフリーダはその夜、部屋を荒らされ、パーティーでは毒死事件が発生する。
フリーダの婚約者で精神科医修行中のアーチーは、師であるウィリング博士に事件の手伝いを依頼するのだった…。
そういう始まりで、ウィリング博士の登場です。
これはネタバレに触れずに書くことは難しいので、以下、折りたたみます。
ほとんど初めて多重人格を扱ったもののようです。
事件のポイントは、多重人格と軽度の色盲。
裏表紙の内容紹介にあるポルターガイストというのは、多重人格者が存在を消して他の人には悟られずに行ったという意味で、超常現象ではないので安心してください。
そういえば
「逃げる幻」でも消失事件を超常現象と匂わせるようなところがありましたが、説明のつくことでしたね。
そういった、大きく錯覚させる技を組み込むのが得意技なのかもしれませんね。
それましたが、多重人格です。
博士に「もうひとり隠れた存在の人がいる、それは御自身も気付いてない」と聞かされてからの、数人が自分で自分を疑う様子が緊迫してました。
この部分と、先述の議員職に対しての気持ちあたりで動機はともかく、誰が多重人格者なのか?は想像できましたが。
なるほど、脅迫されていたかに思えたフリーダ自身が脅迫者であったというのは盲点でした。
途中のアーチーのお母さんやエリスへの心情等で、純粋なお嬢さんではないと見当はつきますけどもね。
途中、ジュリアが大切なのは自分よりも自分のキャリアだとマークがさみしく気付いてしまうところがありましたけど、人としての愛情なければ無理なんじゃなかろうかとも思うし、体裁守るために必死だったともとれます。
どんな形にしろ、愛情はあったという結論に落ち着かせることにします。
なるほどねえ、と思える内容ですけども、エンディングはどうでしょうか。
久しぶりに戻ってきたエリスにイヴがみんなの近況を報告するところです。
フリーダは、途中で見せたしたたかな姿そのままでよかったです。
アーチーがエリスに会いたいというのも、「それでいいのか?」と思わないでもないですけど、アレで目が覚めたということなのだと理解できます。
が、マークですよ。
姿を消したジュリアのことはどうやって納得したのでしょうか。
すべて自分ではない男の時に解決したからといって、「幸せそう」はないでしょう。
テッドにしても同じです。
面白く読んだのに、ここだけがちょっと…と思えてなりませんでした。
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