「姉のアンナが1年前にフィラデルフィアで失踪した」と16歳の妹サラが殺人課へやって来た。アンナは友人レイチェルと一緒に、アーミッシュの成人儀式のためにフィラデルフィアに滞在し、毎日サラの元へ手紙を送っていたが、8月のある日を境にして途絶えたことを心配してのことだった。調度その時期の身元不明死体とアンナの身体的特徴が一致したため母親に遺体の写真を見せ、アンナであると確認できた。アンナは誰に、何故殺されたのか…?
アーミッシュの成人儀式は「16歳になったら1年間外の生活を体験する」 ということくらいしか知らない。
テレビやネット生活に馴染んでいる子でも、16歳で一人の自由な生活を与えられたら何が起きるかわからない。それなのに18世紀的生活を続けていた子に都会の今の生活が精神的にどれだけ過酷なことか。
アンナのようにお母さんの助言で「何かを得て戻ろう!」と強さを身につける子もいるかもしれないが、当然ジェイコブのように身を持ち崩す子だっているだろう。
クスリに溺れて戻りたくないのならしょうがない。でもジェイコブは戻りたがっていた。それなのに「改善の余地なし」と破門する教会が理解不能。家に、アーミッシュの世界に、帰りたい気持ちがあるのだから助けてあげるのが教会だろうに…と思ってしまうが、成人儀式とはそこまでも含めてのものなのだろうか。
アンナのお母さんを見て、「自分の両親が僕に使いを寄越したのだ」とぱっと顔が輝いたジェイコブは哀しすぎた。帰れるのに帰らないアンナに怒りを感じるほど帰りたいのに、なんでこんなことになってしまったのだろう。「(クスリの)止め方がわからない!」くらい子どもなんだよ…。
町山さんの本だったかな?たいていの子は儀式の一年を「軽く羽目を外すだけ、都会に残ったりしない」と意外とクールだと聞いたような気がして、テレビや流行の世界に通じないことは成長を早く逞しくするのかな?と思っていた。でも、守ってあげなければならない時期というものはあるんじゃないのかな?
「村を出るつもりはない」と言っていたサラが儀式を受けることを選んだのが答えなのだろうか。
スコッティは、「内務監査が他のことについても知っている」とボスに愚痴る。しかしボスは「自業自得」と!ボスはいい子にしていれば可能な限り守ってくれるはずなんだけど。こんなこと愚痴っているようでは「いい子」とは言えないからだろうか。あの厳しい目は心を鬼にしているのだと思いたい。
もう一人の問題児、リリーはカウンセリングに行くことは行ったが「来たという証拠にサインして」で済まそうとする。ナンバーズのドン兄ちゃん、WATのサム、みんな同じですね。そういう態度が既に問題を抱えている証拠であることに本人が気付いていない、ということなのだろうか。
そんなこんななので、電気のない静けさのアーミッシュ生活にちょっと心惹かれるヴェラの気持ちもわかるような気がする。ヤスリかけただけだけど(笑)。
この本にもちょっぴりだけ書いてあったような気がする。