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ささくれた日々

海外ドラマ、映画、本等の偏愛感想。ネタバレの配慮はあまりされていませんのでご注意を。

   

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主任警部モース #25「セルビムとセラフィム」 Cherubim & Seraphim

モースの知人の娘マリリンが自殺したと連絡が入る。
彼女をよく知るモースは信じられずに、休暇を利用して真相を探ろうとする。
ルイスは別の警部と組み、行方不明青年の捜査にあたり、トンネル内で自殺している姿を発見する。
理由のわからない若者の自殺に関連を感じたモースは仕事に戻り、さらに一件の若者の自殺事件を知ることとなる。
彼らに関連はあるのだろうか…。

モースが親しく付き合う家族があるなんてイメージできません。
そしたら、そういうことでしたか。
死んだマリリンは姪っ子なのですね。
マリリンの母親ジョイスとは異母兄妹、ジョイスのお母さんグウェンはお父さんの後妻、だったのです。
彼らはモースの家族だったのです。
ふだんは赤鬼などと揶揄するモースですが、このエピソードは家族のためにといういつもとは違った面が見られた、珍しいものであります。

グウェンに嫌われていた少年時代をルイスに告白する姿も、「それは嫉妬。自分が出会う前のお父さんを独り占めしているから」と仲を取り持つかのようなジョイスの言葉が泣かせます。
ジョイスは本当にいい子だったんだな。
自分を嫌っているグウェンを苦しめたいけれどジョイスは悲しませたくない、そんな自殺方法を考えたというモースにも、気難しさに隠された心の内が見えたような気がします。
そんな優しいジョイスの娘が自殺をするなんて…モースの出発点は正しかったのです。

真相は、老人に対して劇的な効果が期待できる向精神薬を見つけたコリアー博士(Jason Isaacs!)。
しかし老人に対してしか治験をしておらず、様子見を兼ねて若者のパーティーで薬を試させてみた、ということらしいです。
高揚感を与えてくれるものの、反動として大きな失望をもたらすこの薬が理由不明の自殺の原因だったというものかしら?
薬を提供する場として、バーの店主、パーティー企画者、不動産屋、コリアー博士と、大人が事の重さを考えずに手を組んでいる姿がいやらしいです。
マリリンの親友ヴィッキーのママも見下げた人です。
薬に手を出したのは好奇心だけだったみたいですが、その薬のせいで大人への失望感が育ちすぎてしまったという、ある意味現実的過ぎる反応なのが皮肉。

今月、モースの新人刑事時代を描いたドラマがWOWOWで放送されますね。
少年時代にどんな想いをしていたのかが垣間見れるこのエピソードを先に見ることができてよかったなあと思います。

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