医者が目を覚ますとそこは古びたバスルーム。片足は鎖で一角に繋がれている。対角には同じように繋がれた男、アダムがいた。何がなんだかわからないでいると、それぞれに宛てられたメッセージを発見する。
アダムは除き屋とののしられ、医者にはアダムを殺さないと家族も危ないよ、制限時間は6時まで(そのとき10時)、というものだった。
脱出しようと試みたり、拉致されたときの状況等から医者は自分が犯人扱いされた一連の事件とのつながりを考え出す。
その一連の事件の描写が恐かった。剃刀の張り巡らされたところへ突っ込んでいたり、体に可燃性の物質を塗られていたり。生還者もいたけれど助かるためには酷いことをしなければならなかった。
同僚が死んだことで事件に執着しすぎておかしくなってしまった元刑事も今バスルームに監禁されている事件では犯人候補かと思わせたり、こっちも考えが振り回された。
医者の妻子を拘束していた病院の雑役係が登場した時は、こいつか! と思う反面、何か違和感があった。精神構造や執着心はそういうこともあるだろうと思えるが、けっこうな経済的な投資も必要であったはず。果たして彼に可能だったのか、と首を捻っていたら案の定!
最後まで飽きさせない展開で、楽しめた。
でも、みんなあんな恐い思いをするほどの悪いことをしていたかしら。真犯人はそう思ったんだろうから仕方がないか。
内容と直接関係ないが、鎖で繋がれている医者が壁を壊して粉だらけになって急に老け込んで、絶望で横座りになっている姿が「有川周一さん」に見えて困りました。
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