忍者ブログ

ささくれた日々

海外ドラマ、映画、本等の偏愛感想。ネタバレの配慮はあまりされていませんのでご注意を。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「養鶏場の殺人/火口箱」ミネット・ウォルターズ



解説に「読みやすさを念頭に置いて書かれている」とあるように、本当に読みやすいです。
でも、どちらも内容はヘビーです。

「養鶏場の殺人」
実際の事件をもとに書かれているらしい。
若い二人、エルシーとノーマンが出会って、恋仲になって、ノーマンの気持ちは離れていく…と色恋沙汰なところが基本。
そこに、うまくいかない仕事、エルシーの精神的な不安定が加わって、何からも逃れられないノーマンが何をしたのか?という事件なのです。
これは、偽妊娠で心をつなぎとめようとするエルシーが鬱陶しくなったノーマンが何かやらかしたと考えるのが今風でしょう。
私も最後の著者のノートを読むまでは、そう思ってました。
とりつくろうような電報もあるし。
が、ああ、なるほど。
純朴であるが故のノーマンの供述、これがきっと真実なのでしょう。
コナン・ドイルが実際の判決に異議を持っていたというのも、この点なのかもしれません。
裁判部分は少なく、エルシーとノーマンの物語になっているところがまた印象深いです。

「火口箱」
これは、まさかの犯人でした。
それにしても、見たいようにしか見ず、思いたいようにしか思わない人間の憐れさが痛いです。
偏見を持つ人に立ち向かっているアイリッシュのシヴォーンは、正義の人だと思ってました。
が、実は彼女も「アイリッシュは偏見を持たれている」という枠の内でしか物事を見られない人と描かれているのが、犯人と同じくらいに「まさか」でした。
ネタバレとかじゃなく、過程そのものが主役とでもいいましょうか。

二編どちらも、スラスラと読めてしまいます。
だからといって、薄っぺらいわけではなく、かえって重く感じられるのが、単純にすごいなあと思います。

拍手

PR

COMMENT

NAME
TITLE
MAIL(非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS(コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます

最新コメント

カテゴリー

アーカイブ

プロフィール

メール

AdMax

カウンター

アクセス解析

ブログ内検索

Copyright ©  -- ささくれた日々 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]